第69号
平成27年2月10日発行

郊外住宅団地の活動紹介
3つの研究会で取組が始まっています


老いる郊外住宅団地は宿命か
 広島郊外住宅団地ネットワーク(2013年発足)の調査報告(都市住宅学会誌)によると、

 昭和50年(1975)以降に造成された5ha以上の住宅団地は、広島市で110団地ある。
 これらの団地の多くは山を造成してつくられているため坂道が多い。また開発された当時の入居者は子育て期だったが、子どもが独立し団地に子世代が団地に戻ってくるケースは少なく、人口減少と高齢化が進んでいる。
 高齢者にとっては、坂道・段差に加えてスーパーの撤退や公共交通(バス便)の減便・廃止等、生活の利便性が減少し、平地の分譲マンションに転出せざるを得ない事情が生まれている。(以下略)

専門家・行政でも取組み
 H25年(2013)に発足した「広島市住宅団地活性化研究会」(広島市企画総務局地域政策課)においては、①団地住民の問題共有   ②目指す将来像の策定 ③担い手の育成等が問題として提起されています。
 問題解決へのアプローチとして、①地域リーダーの確保、育成、②高齢者支援、③若い世代の移住促進が挙げられています。

挑戦する団地住民の取組み
 広島大学建築計画学研究室(平野吉信教授)で、問題解決に取り組んでいる全国事例(20団地)広島近郊事例(4団地)報告があります。
 以下、広島関係の概要をお伝えします。

くすの木台団地
 S53年(1978)に完成。上下水道管理組合、宅地建物管理センター(空き地の管理)に加え、「くすの木台自治会」がスタート。
 H5年(1993)、夏祭りを主催していた“子ども会”が、保護者の負担増から中止に追い込まれましたが、自治会とおやじの会の支援をえて夏祭りを復活させました。
 空き地対策として、宅地建物管理センターと共同で「貸駐車場の運営」「草刈り」を実施中。

毘沙門台団地
 S49年(1974)に完成。ここでは地区社会福祉協議会(佐伯区では学区町内会連合会)が3町内会と各種団体で地域活動をしています。
 S59年(1984)ごろから、町内会役員のなり手不足が顕著になり、役員負担が増加。H11年(1999)有志による“メンズサロン”が誕生し、町内会活動の陰のサポート役となり、地域活動の活性化に寄与しています。
 H26年(2014)の土石災害でも一部に被害が発生し、住民の自主避難先として地域の集会所を開放し、町内会で受け入れを行ったが、行政の指定避難場所でなかったので支援物資の配給が遅れたという話があります。

スカイレールタウン・みどり坂(安芸区)
 H9年(1997)に造成。スカイレール㈱が街の機能(スカイレールの運行)の中枢を担い、スカイレール㈱の支援で町内会組織もスタートしています。
 その後「まちづくり委員会」(町内会+スカイレール㈱)がスタートし、同時に保育園、商業施設、小学校の建設、集会所建設等の支援を行っています。
 これは新しいタイプのニュータウンとして、全国的も注目されている団地だそうです。

※東観音台団地の報告は割愛します。

佐伯区・団地元気フォーラム
 H26年、佐伯区で「団地元気フォーラム」がスタート。広島郊外住宅団地ネットワークのメンバーに加え、佐伯区長や住民有志が参加し活動しています。
 現在、区内の住宅団地の現状を共有するため、順次、現地視察を行い問題の共有化を図っています。
 以下、これまでの視察概要をお伝えします。

美鈴が丘団地
 H24年(2012)、“独り暮らし高齢者”の出会いの場「ら・ふぃっとHOUSE」(NPO法人運営)が誕生し、空き家を活用した集いの場の創出で注目されています。
 ここでは、週5日(火~金)のオープンで、昼食、カフェ、マージャン、手芸、介護者の集いなどを実施し、一ヶ月240人が利用しています。
 この団地は、S56年(1981)“三井不動産㈱”が造成し、現在も“美鈴モール”に拠点を持っています。
 築30年以上になるため、住宅の改造、住み替えによる転売、空き家の増加等が見られますが、ここに“三井不動産㈱”の拠点があるので、不動産に関する相談の窓口になっているようです。

杉並台団地
 S57年(1982)に造成され2,150人が居住しています。H24年(2012)、地元唯一のスーパーが突然撤退を表明。高齢世帯から、「たちまち日常生活に支障が出る」という問題が発生しました。
 町内会を中心にスーパー誘致に動いたが、出店してくれるスーパーがなく困っていた時、広電の移動販売車「ヒロデンジャー」も販売先を探していました。
 H25年(2013)、地域の駐車場で毎週3回(火、木、土)、移動販売車「ヒロデンジャー」での販売が開始されました。
 日用品を含め600品目の品揃えで大好評。毎回の来客数は約150人あり、その日はお互いの近況を語り合うなど、出会いとふれあいの場にもなっています。
 また歩行困難な世帯には、社員の方が送迎をして便宜を図っています。その後、雨天時対策として市の屋根付き施設の利用が実現し、電源の確保や休憩用のイスもおき、地域の活動拠点となっています。

五月が丘団地
 ここでは、毎年5月の大型連休時に「五月が丘まるごと展示会」が開催されています。ここの特徴は、個人が“自宅開放”をしていることです。
 「まるごと展示会」の期間中は、巡回バスの運行や白馬馬車(昨年、アクシデントで中止)を走らせています。個人単位の集まりに町内会が協力する形で実施されている珍しい事例です。
 30軒が参加する展示会では“手作り作品”“絵画”“お茶席““お庭拝見”“手作りパン・コーヒー”など、多彩な内容と団地内を散策する楽しさに加えて、訪問先で弾む会話から「来年の再開が楽しみになる」という。まちづくりの新しいあり方が提案されていると感じました。

元気で明るい東観音台団地を目指して
 町内会は「地域の自立と意思決定」にとって、一番の基礎となる自治組織です。また「向こう三軒両隣」の班組織はコミュニティの原点です。
 災害時の助け合いや日ごろの見守りも、近所隣りの声かけ(あいさつ)から…。町内会活動に、ちょっとだけ、あなたの力を貸してください。

企画・編集:東観音台連合会 広報委員会
発行:広報委員長 原田敬至

文責:中倉 勇